カール・ライネッケ（1824年〜1910年）は、ロマン派時代のドイツの作曲家、音楽監督、演奏家、教師であり、当時デンマークに支配されていたハンブルクに生まれた。音楽教師であった父から、幼い頃からヴァイオリン、そしてピアノの手ほどきを受けた。ライネッケは早くから音楽の才能を発揮し、7歳から作曲を始め、12歳で初公演を行った。成人して早々、デンマーク、スウェーデン、ドイツのコンサートツアーに何度か参加し、コペンハーゲンではクリスチャン8世の宮廷ピアニストを短期間務めた。 

1851年、ライネッケはケルンの音楽院で教授職を引き受け、1854年にドイツのバルメンにあるコンサート協会の音楽監督に就任するまで働いた。その後数年間、音楽監督として頭角を現し、1859年にはブレスラウ大学の音楽監督となり、1860年にはライプツィヒの著名なゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督となった。ライネッケはそこで35年間音楽監督を務め、当時の重要な新作を初演した。彼は同時にライプツィヒ音楽院での教職に就き、有力かつ影響力のある教育者として、エドヴァルド・グリーグ、レオシュ・ヤナーチェク、マックス・ブルッフ、アーサー・サリヴァンなど、後に著名になる作曲家や音楽家を指導した。 

ライネッケはロマン派のレパートリーにも多大な貢献をした。彼は3曲の交響曲と、最も有名な『マンフレッド王』（1866年）を含む数曲のオペラを作曲した。協奏曲もいくつか書いており、そのうちの4曲は彼の主要な楽器であるピアノのためのもので、ヴァイオリン、チェロ、ハープ、フルートのためのものもそれぞれ1曲ずつある。しかし、彼の作品のほとんどは、弦楽四重奏、ピアノ四重奏、五重奏、管楽六重奏、八重奏などの室内楽のためのもので、さまざまな楽器のためのソナタやトリオも数多く書いている。彼の最も不朽の作品のひとつはフルートのためのソナタ『ウンディーネ』で、フルートのレパートリーにおけるロマン派時代の最も重要な作品のひとつとなっている。 

ライネッケは1895年にオーケストラを、1902年に音楽院を引退した後も作曲活動を続け、ピアニストとしてもツアーを行った。ライネッケは、モーツァルト音楽の優れた研究者であり、演奏家としても知られていた。1910年に多彩なキャリアを持つ生涯を終えた。現在では彼の作曲した曲の多くは演奏されなくなっているが、同時代で最も影響力のある音楽家の一人とみなされている。