クロード・ポール・タファネル（1844年〜1908年）はフランスのフルート奏者、教師、指揮者であった。フランスのボルドーに生まれ、幼い頃から父に音楽を学ぶ。フルートで優れた才能を発揮したため、家族でパリに移り住み、パリ音楽院でルイ・ドリュスに師事した。1860年、16歳でフルート科を首席で卒業。卒業後、タファネルは演奏家として成功を収めた。パリ・オペラ座やパリ音楽院管弦楽団に出演したほか、管楽器奏者のための室内楽協会を組織し、古楽と現代音楽の両方を演奏、プログラムした。またソリストとしても頻繁に演奏し、フォーレ、エネスク、ヴィドールなど当時の多くの作曲家がタファネルに作品を献呈している。  

タファネルは指揮者としても作曲家としても活躍した。1890年、フルート奏者からオペラ座とパリ音楽院管弦楽団での指揮者に移行し、ヴェルディ、ワーグナー、サン＝サーンスなどの近現代作曲家の作品を頻繁に初演した。作曲家としては、『アンダンテ・パストラールとスケルツェッティーノ』、『魔弾の射手による幻想曲』、『ミニョンの主題による大幻想曲』など、フルートのための作品をいくつか発表しており、これらは現在でも頻繁に演奏されている。また、木管五重奏曲の主要作品である『木管五重奏曲 ト短調』も作曲しており、この曲は今でもこの編成のレパートリーの定番曲となっている。  

しかし、タファネルの音楽界への最大の貢献は教授としてであった。1893年、彼はパリ音楽院のフルート科教授となり、フルート演奏の指導法とアプローチの両方を刷新した。伝統的なマスタークラスを取り入れる一方で、学生にはより個人的な指導を受けさせ、19世紀のヴィルトゥオーゾ作品だけでなく、バロック音楽やモーツァルトを学ぶよう奨励した。彼はフランス式フルート流派の創始者であり、その流派では、演奏者はより軽く、ヴィブラートを控えめにし、フルートの全音域を通して均一で、力強く滑らかな音を出すようになった。彼はフルートを学ぶ者のための教則本の開発にも着手し、それは後に弟子のフィリップ・ゴーベールによって完成され、今でも現代のフルート教育には欠かせないものとなっている。彼の他の著名な弟子には、ルイ・フルーリー、ジョルジュ・バレール、マルセル・モイーズ、などがいる。タファネルは影響力のある長い音楽活動の後、1908年にこの世を去った。  

写真提供：フランス国立図書館