フェリックス・メンデルスゾーン（1809年〜1847年）は、ドイツ出身のロマン派の作曲家および演奏家である。ハンブルクでユダヤ人の哲学者の息子として生まれたが、両親は後に一家をキリスト教に改宗させた。彼と姉のファニーは、幼い頃から音楽の才能を発揮していた。しかし当時、女性が音楽の道に進むことはふさわしくなかったため、メンデルスゾーンは一家で唯一のプロの演奏家となった。メンデルスゾーンは、9歳で公の場にデビューし、幼少期には個人的な演奏会のために数多くの曲を作曲した。 

メンデルスゾーンが最初に出版した作品は、1822年から1825年の間に書かれた『ピアノ四重奏曲』であった。彼の最初の『交響曲全曲』は1824年に完成したが、これは同作曲者がまだ15歳の時であった。彼を国際舞台で一躍有名にしたのは、1825年の『弦楽八重奏曲』、1826年の『真夏の夜の夢』、そして最初の2つの『弦楽四重奏曲』だった。その後、彼はヨーロッパ各地を旅し、作曲のための新たなインスピレーションを見出した。彼の『交響曲第3番』と『第4番』は（それぞれ『スコットランド』と『イタリア』として知られている）、その例である。ライプツィヒで作曲された後期の作品には、印象的なオラトリオ『聖パウロ』や、人気の高い『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調』などがある。彼の作品は、ベートーヴェンやウェーバーの先進的な影響を受けているものもあるが、メンデルスゾーンは主に保守的な作曲家として知られている。彼は、ベルリオーズ、リスト、ワーグナーのような実験的な音楽には手を出さず、伝統的な和声と構造の枠内で、表現豊かに作曲することを好んだ。 

メンデルスゾーンは指揮者としても活躍した。デュッセルドルフで短期間音楽監督を務めたほか、イギリスなどヨーロッパの都市でも頻繁に指揮をした。やがてメンデルスゾーンは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督のポストを得た。ライプツィヒ時代、メンデルスゾーンはほとんどすべての音楽施設に貢献し、1843年にはライプツィヒ音楽院を設立、ロベルト・シューマンとともに才能ある若い音楽家を指導した。メンデルスゾーンは1847年、姉ファニーの死の直後に亡くなった。彼の作品は今日でも変わらず人気がある。