ニコロ・パガニーニは、1782年にジェノヴァの商家に生まれた名ヴァイオリニストであり作曲家である。7歳でヴァイオリンを弾き始めた彼は、瞬く間に全ての教授を凌駕した。この才能ある若き音楽家は、18歳で国内を演奏旅行するようになり、フリーのヴァイオリニストとして活動し、後にトスカーナ州のルッカ共和国の第一ヴァイオリンに任命された。1805年にこの地域がナポレオンに併合されると、フランス王女エリサ・バチョッキがこの地域を引き継ぎ、パガニーニは彼女の宮廷で演奏するようになった。王女の宮廷がフィレンツェに移ると、パガニーニは演奏旅行を再開した。ミラノのスカラ座でのコンサートの後、パガニーニは注目され始め、ローマ法王自身から名誉ある賞を授与された後、ヨーロッパのあらゆる主要都市を回るようになった。パガニーニは、自作曲や作曲家仲間の作品の改作を演奏した。  

結婚せず、嫡子もいなかったが、イタリア人歌手のアントニア・ビアンキをはじめ、多くの恋愛関係を持った。関節や組織に影響を及ぼすまれな遺伝的疾患、梅毒や結核を患っていたと考えられているため、彼の健康状態は生涯を通じて問題があった。1840年、57歳の若さで内出血のため死去した。 

ニコロ・パガニーニは、史上最も優れたヴァイオリニストの一人とされ、『ヴァイオリン協奏曲第1番』（1818年）、『無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース』（1802〜1817年）、『モーゼ幻想曲』（1818年）、『チェントーネ・ディ・ソナタ第1巻』（1828〜29年）、『常動曲（無窮動）』（1835年）、イギリスの国歌『神よ国王を守り給え』による変奏曲（1829年）など、多くの音楽的遺産を残している。