米国でジョーゼフ・ギンゴールドに師事し、イザイおよびフィリップ・ヒルシュホルンにも師事したフィリップ・グラフィンは、オーストリアのフリッツ・クライスラー国際コンクールで優勝し、そこでメニューイン卿に見い出され、彼の指示のもとで最初のCDを録音するよう誘われた。それ以来、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、サー・ロジャー・ノリントン、エルネスト・ブール、サー・ユーディ・メニューイン、スティーヴン・コヴァセヴィチ、ルーマニアの指揮者セルジュ・コミッショーナなど、現代を代表するアーティストたちとステージを共にしてきた。

多くの作曲家が、書いた曲をフィリップ・グラフィンに捧げている。その中には、ロシアの作曲家ロディオン・シチェドリンの『コンチェルト・パルランド』、デイヴィッド・マシューズの『協奏曲第2番』、リトアニアの作曲家ヴィタウタス・バルカウスカスのヴァイオリンと管弦楽のための『Jeux（遊戯）』、およびヴィオリスト今井信子との『二重協奏曲』が含まれている。フィリップはまた、イヴ・プランの『協奏曲』やフィリップ・エルサンが彼のために書いた数々の作品を初演している。

最近では、イギリスの作曲家ピーター・フリビンスが彼のために書いた『協奏曲』を初演、録音した。彼は、BBCプロムス、ブカレストのエネスク音楽祭、ラジオ・フランス音楽祭、フィンランドのクフモ室内楽音楽祭、ロッテルダムのゲルギエフ音楽祭、ナントのフォル・ジュルネ、ブリュッセルのムジーク3音楽祭、パリのプランタン・デュ・ヴィオロンなど、名だたる音楽祭に招かれている。彼のディスコグラフィーは非常に豊富で、すでに約50枚のCDを出しており、そのうち30枚以上は協奏曲であり、その多くが初録音である。

室内楽奏者として、フィリップはリンカーン・センター室内楽協会やロンドンのウィグモア・ホールに定期的に招かれている。また、サン＝ナゼールの音楽祭「コンソナンス」の創設者でもあり、25年にわたり監督してきた。また、いくつかのイベントも手がけており、中でも注目すべきは、作曲家ウジェーヌ・イザイをテーマとしたフェスティバルである。そのフェスティバルは、ロンドンのウィグモア・ホールでハーグのオーケストラ・イン・レジデンスを招いて開催されており、近々ベルギーのクノッケでも開催される予定である。また、ベルギーのテレビ局「A Flagey」（ブリュッセル）のために、俳優のジェラール・ドパルデューを招き、ベルギーでコンサートリーディング『La nuit nous appartient』シリーズを行った。

これらの録音には、グラモフォン誌の月間最優秀録音に選ばれたロンドンのフィルハーモニア管弦楽団と共演のブリテンの『ヴァイオリン協奏曲』、パドヴァ・ヴェネト管弦楽団と共演のメンデルスゾーンとシューマンの『ヴァイオリン協奏曲』、アントワープ交響楽団と共演のヨーゼフ・ジョンゲンの『ヴァイオリンと管弦楽のための作品』などが含まれる。今シーズンは、スウェーデンでのエーテボリ交響楽団との共演、米国でのオベリン交響楽団との（『ラロ：スペイン交響曲』）およびエルガーの『ヴァイオリン協奏曲』の共演、南アフリカでのブラームスの『ヴァイオリン協奏曲』の公演とリサイタルを予定している。

彼は、アムステルダムのコンセルトヘボウでピアニストのオッリ・ムストネンと共演し、プラード・カザルス音楽祭、ブリュッセルのムジーク3フラギー音楽祭、セビリアのトゥリーナ音楽祭など、数多くの音楽祭に参加した。彼は、ブリュッセル王立音楽院およびパリ国立高等音楽院で教鞭を執っている。フィリップ・グラフィンは、彼が2017年に創設したノッケ・ル・ズーテのイザイ音楽祭の芸術監督であり、アヴィニョンのラ・ミランド・コンサートの芸術監督でもある。