セルゲイ・プロコフィエフは1891年、ソンツォフカ（現在のウクライナ）に生まれたピアニスト、作曲家である。天賦の才に恵まれ、幼い頃から作曲を始め、11歳の時にはすでに2つのオペラと、愛情を込めて「小さな子犬 」と呼んだ一連のピアノ小品を書き上げていた。彼の作曲スタイルは、時とともに複雑さを増し、型破りな拍子記号や調の変化を用いるようになった。 

レインゴリト・グリエールのもとで正式な音楽教育を受け始め、13歳でサンクトペテルブルク音楽院に入学した。サンクトペテルブルク音楽院を卒業後、彼は最初のピアノ協奏曲で第1位（ルービンシュタイン賞）を獲得したが、その決定は満場一致ではなかった。現代的で前衛的だと評価する批評家もいたが、プロコフィエフの作品は万人に受け入れられるものではなかった。学業を終えた後、セルゲイ・プロコフィエフはロンドンに渡り、そこでバレエ・リュスのディアギレフと、当時ディアギレフのためにバレエ音楽を書いていたイーゴリ・ストラヴィンスキーに出会った。ストラヴィンスキーの『春の祭典』は、特にプロコフィエフの作曲に大きな影響を与えた。若き作曲家は、フョードル・ドストエフスキーの小説を原作とするオペラ『賭博師』を書いたが、オーケストラと歌手は音楽を理解するのに苦労し、上演を拒否した。プロコフィエフが作曲した『交響曲第1番』は『古典交響曲』とも呼ばれ、ヨーゼフ・ハイドンの作品などの古典派時代の音楽に似ている。この作品は国際的に高く評価され、今日でも非常に人気のある交響曲である。 

ロシアの混乱から逃れるためにニューヨークに数年住んだプロコフィエフは、やがて西ヨーロッパに戻り、パリのディアギレフにバレエ音楽を提案した。『スキタイ組曲』として知られるこのバレエ音楽は、ディアギレフには不評だった。プロコフィエフは、別のバレエ音楽『道化師』や『ピアノ協奏曲第3番』を作曲し、特に後者は大変な人気を博した。 

プロコフィエフは西ヨーロッパで成功を収めたが、同世代の芸術家たちに誘われてソ連に戻った。当時の芸術家の生活は決して楽なものではなかった。にもかかわらず、プロコフィエフは『戦争と平和』（トルストイの小説が原作）、『修道院での婚約』など、第二次世界大戦中に多くの代表作を書き上げた。 

セルゲイ・プロコフィエフは1953年3月5日、脳出血のために死去した。同じ日にヨシフ・スターリンが死去したため、プロコフィエフの死はあまり話題にならず、メディアにもほとんど取り上げられることはなかった。